「論文を読もう」と思っても、数字ばかりでよくわからない…。
そんな経験、ありませんか?
看護や医療の現場では、エビデンスに基づく判断が求められます。
でも、効果量(effect size)やOR値(オッズ比)、95%信頼区間といった統計用語が理解できないと、せっかくの情報を活かせません。
この記事では、論文を読むときに最低限知っておきたい数字の見方を、専門知識がなくてもわかるように解説します。
論文を読むときに見るべき3つのポイント
論文を読むときに注目すべきポイントは以下の3つです。
- 効果量(どれくらいの差があるか)
- 有意差(統計的に本当に差があるか)
- 信頼区間(どの程度の確かさがあるか)
これらを押さえると、結果の“重み”がわかるようになります。
効果量(Effect Size)の見方
効果量とは、「どれくらい効果があったか」を表す数字です。
例えば、あるストレッチ介入で腰痛スコアが改善したとき、その改善の大きさを示します。
| 効果量(d) | 解釈の目安 |
|---|---|
| 0.2前後 | 小さい効果 |
| 0.5前後 | 中くらいの効果 |
| 0.8以上 | 大きな効果 |
📌 有意差(p値)だけを見るのではなく、「どのくらい変わったか」を示すこの数値を見ると、臨床的な意味を理解しやすくなります。
相関係数(r)の読み方
相関係数は「2つの変数の関係の強さ」を表します。
たとえば「運動量と血圧の関係」などです。
| 相関係数(r) | 関係の強さ |
|---|---|
| 0.1〜0.3 | 弱い相関 |
| 0.4〜0.6 | 中程度の相関 |
| 0.7以上 | 強い相関 |
✅ プラスの相関(+):運動量が増えると血圧が下がる、のような関係
✅ マイナスの相関(−):ストレスが高いほど睡眠時間が短い、などの逆関係
オッズ比(OR値)の読み方
オッズ比は「ある要因があると、どれだけ結果が起こりやすいか」を示します。
たとえば、「喫煙者が非喫煙者よりも高血圧になるリスク」を比較する場合に使われます。
| OR値 | 意味 |
|---|---|
| 1.0 | 差なし |
| 2.0 | 2倍リスク |
| 0.5 | リスクが半分 |
📍 OR=2.0(95%CI:1.2〜3.5) の場合:
喫煙者は非喫煙者の約2倍高血圧になりやすいと考えられ、信頼区間に「1」を含まないため有意な結果です。
95%信頼区間(Confidence Interval)の意味
信頼区間は「真の値がこの範囲にありそう」という推定の幅を示します。
たとえば:
OR=7.9(95%信頼区間:2.8〜22.6)
この場合、
「リスクは平均で7.9倍、実際の真のリスクは2.8倍〜22.6倍の間にありそう」という意味です。
| 見るポイント | 意味 |
|---|---|
| 幅が広い | データが少ない or ばらつきが大きい |
| 幅が狭い | データが安定している |
| 区間に1を含まない(ORの場合) | 統計的に有意 |
| 区間に1を含む | 有意ではない可能性 |
p値との違いも知っておこう
p値は「偶然でこうなった可能性がどのくらいか」を表します。
p<0.05 なら「偶然ではない=有意差がある」と判断しますが、
それだけでは臨床的に意味のある差かどうかまではわかりません。
→ p値は有意性、効果量は実際の大きさを示す、というのが大切なポイントです。
論文を読むときのコツまとめ
- p値だけで判断しない
- 効果量と信頼区間を見る
- OR値は1をまたぐかを確認
- 相関係数で関係の強さをつかむ
- 数字は“差の大きさ”と“信頼性”の両方を読む
まとめ|数字が読めると論文が怖くなくなる
論文の数字は、「難しい専門用語」ではなく、
結果の確かさと大きさを表す“共通言語”です。
最初は見慣れないかもしれませんが、
効果量・OR値・信頼区間を理解できると、
エビデンスの信頼度を冷静に判断できるようになります。


コメント